アルゴスのアーピス(ギリシア語: Ἄπις、Apis)は、古代ギリシア語において「遠く離れている」ないし「梨の木の」を意味した「apios」に由来する名の、ギリシア神話に登場するアルゴスの王。英語読みでは、エイピス () となる。
家族
アーピスは、ポローネウスがニュンペーのテーレディケー (Teledice)かキンナ (Cinna)、あるいはケルド (Cerdo) に産ませた子で、ニオベーの兄弟にあたる。一説には、ポローネウスとその第一夫人ペイトー(「説得」の意)の息子であり、シキュオーンのアイギアロスの兄弟であったともいう。さらにアーピスの母であった可能性がある女性として、ラーオディケー (Laodice)、ペリメーデー (Perimede) がいる。
統治
諸家の伝えるところでは、アーピスは紀元前1600年ころまで35年間にわたってアルゴスを統治したとされる。
アーピスは、統治においては独裁をおこない、ペロポネソスに自身の名をつけてアーピアー (Apia) と称したが、遂には息子のスパルタ王テルクシオーンが、テルキースと結んだ策謀によって殺された。アテナイのアポロドーロスによるとされる『ビブリオテーケー』は、このように述べる個所の前で、ポローネウスの子のアーピスがアイトーロスによって殺されたと記しているが、これは、このアーピスと、それとは別の、ヤソン (Jason) の子アーピスを混同したものであり、後者はアザーンの死後に行われた葬礼競技祭に参加して事故でアイトーロスに殺された。
アーピスの女きょうだいであったニオベーは、復讐し、テルクシオーンとテルキースを死に追いやった。
セラーピス
ポローネウスの子のアーピスは、死後にセラーピス (ギリシア語: Σάραπις) という名で神として崇拝された。この混同は、その後の伝統の中でより強固なものとなっていき、やがてアーピスがアルゴス王国を弟に譲り、エジプトへ赴いて、エジプトを数年間統治したという話が生まれた。アーピスは、古代ギリシアにおける最初期の立法者のひとりとされている。これらの逸話は、エジプト神話における牛の姿で表象される神アピスの要素がアーピスの話に混入していることを示している。
脚注
参考文献
- Pausanias, Description of Greece with an English Translation by W.H.S. Jones, Litt.D., and H.A. Ormerod, M.A., in 4 Volumes. Cambridge, MA, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd. 1918. Online version at the Perseus Digital Library
- Pausanias, Graeciae Descriptio. 3 vols. Leipzig, Teubner. 1903. Greek text available at the Perseus Digital Library.
- Pseudo-Apollodorus, The Library with an English Translation by Sir James George Frazer, F.B.A., F.R.S. in 2 Volumes, Cambridge, MA, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd. 1921. Online version at the Perseus Digital Library. Greek text available from the same website.
- この記事には現在パブリックドメインである次の出版物からのテキストが含まれている: Schmitz, Leonhard [in 英語] (1870). "Apis". In Smith, William (ed.). Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology (英語). Vol. 1. p. 226.


